素材を金属からナノチューブに車など曲面向け 太陽電池、製造コスト半分 東大、
東京大学の丸山茂夫教授と松尾豊特任教授らは、製造コストを半分にできる薄型太陽電池を開発した。電極材料を従来の金属から筒状炭素分子「カーボンナノチューブ」に変え、電気代などコストがかさむ真空での作業工程をなくした。材料メーカーなどと組み、数年後の実用化を目指す。
開発したのは「ペロブスカイト型」と呼ばれる有機太陽電池の一種=写真は東大提供。薄く柔らかいので折り曲げて、自動車の車体や建物の曲面などに設置できる。1.5センチメートル角の試作品は電極にインジウムなどの代わりにカーボンナノチューブを使った。球状炭素分子「フラーレン」の一種と組み合わせて電気を取り出しやすくした。発電効率は7%と主流のシリコン製より低いが、今後の研究で改善できるとみている。
金属製電極を作る場合、高価な製造設備を使う真空蒸着といった工程が必要だった。カーボンナノチューブは合成樹脂などの基板に塗るだけで電極になる。使用量も少なく全体では安くなるという。
2018.2.26 日本経済新聞掲載