日本電機工業会(JEMA)と太陽光発電協会(JPEA)は、技術資料として作成した「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」を公表した。
この技術資料では、直流1500V以下の系統連系太陽光発電システムについて、基本的な保安要件や、推奨・追加する保守項目等をまとめている。
具体的には、信頼性・安全性・耐火性に係わるシステム機器および接続部の基本的保守、不具合対応手順およびトラブルシューティングのための手段、作業者の安全性を確保するための手順等について記載する。
また、太陽電池モジュールの洗浄、植生の管理など、期待される発電性能を最大限にするための保守項目も扱い、屋根設置、地上設置それぞれ特有の配慮点を記している。ダウンロードは本記事末尾のURLから。
■対象は太陽光発電とパワコンなど周辺機器
この技術資料の対象は、直流1500V以下の太陽光発電システム(太陽電池アレイ、接続箱・集電箱、パワーコンディショナーや、これらを構成するケーブルなど)。パワーコンディショナーから先の交流側は規定しない。
ただし、太陽光発電システムに受変電設備が含まれない場合は、電気事業者や需要設備との責任分界点までの設備・ケーブルなどを含む。また、太陽光発電システム以外の発電設備や蓄電池その他の貯蔵装置を含むシステムでは、太陽光発電システム部分を対象としている。
また、系統と連系していないシステム、太陽光発電システム以外の発電設備・蓄電池その他の貯蔵装置も対象外。システムが適切な設計規格・設置規格に準拠していることを前提としており、その確認のために実施された竣工検査(新規設置の完成時・既存設備の変更の完成時に行う検査)の結果を参照することがある。
■目的は最低限の保安要件等の特定
太陽光発電システムの保守要件は、その種類(住宅用・商業用・電力会社規模)、システム所有者、資金調達要件によって異なる場合がある。そこで、この技術資料では、システムの最低限の保安要件や、推奨・追加の保守項目、適切な点検頻度を決定するための要因を特定することを目的としている。さらに、定期点検・問題特定の手段として、遠隔診断法が認められる条件や、イノベーション、製造業者特有の方法、変化するシステム所有者の要求などに対応するために、保守関連要件を満たすための代替の方法が認められる条件を特定している。
太陽光発電システムの保守は、運用・保守(O&M)という包括的な用語で一括りにされることが多い。この技術資料は、運用に係わる経営プロセス(例:予測、電気料金優遇措置など)やシステムの基本動作条件、安全性・発電性能以外の要素に左右されるその他の事項については扱っていない。また、システム所有者が主として目視にて確認を行う日常点検(日常巡視)は扱わない。
詳細に関してはこちらまで:http://www.jpea.gr.jp/pdf/161228_pv_maintenance.pdf